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    富栄養化の逆理

    • 2005.05.27 Friday
    • 12:52

    水域生態系において、エサ種(植物プランクトン)とハンター種(動物プランクトン)が存在するとき、エサ種が増えるとハンター種の捕食量が増し、その種の個体数が増えることによって、エサ種の個体数の増加が抑えられる。簡単な数理モデルによって個体数の変化を調べてみると、このような関係は、負のフィードバックをもたらし、両種が安定した個体数を維持するか、振幅の小さい周期的変動を繰り返す。ところが、沿岸部の人口増加などによって、水域への栄養塩の流入が増加すると、エサ種が急速に増殖するので、ハンター種が増えてエサ種の個体数を抑えるまでに時間がかかり、両種の個体数は大きな増減を繰り返すことになる。つまり、数理モデルの世界では、富栄養化が生態系を不安定化させることになる。しかし、実際の湖沼生態系での観察やフラスコのような実験生態系では、むしろ理論の予測どおりに不安定化を引き起こすことは少ない。

    この事実は、モデルに組み込まれていない重要な要因が実際には存在していることを意味している。

    エサ種に二つのタイプがあり、ハンター種が、それらのタイプへの攻撃を情況によって変化させることを考慮すれば、富栄養化の逆理を解決できることを見いだした。

    実際、琵琶湖などの湖沼生態系では、動物プランクトンが好んで食べる小型の植物プランクトンとあまり食われない大型の植物プランクトンが存在する。そして大型植物プランクトンの成分は、窒素やリンにくらべて炭素の比率が高いので、動物プランクトンにとっては栄養価の低いエサである。このような大型植物プランクトンはあまり食われないので、食物連鎖系のエサ生物として脇役的存在といえるだろう。

    生物多様性科学のすすめ―生態学からのアプローチ

    間接効果

    • 2005.05.27 Friday
    • 12:47

    2種間の相互作用の様相が第3種の作用によって変化することをさす。このため、間接効果は3種以上からなる相互作用系に特有の効果なのである。2種間の直接的な関係とは異なり、間接効果は相互作用のネットワークを通して、多数の種に波及する。自然界では複数の種によって生物群集が成り立っているので、間接効果は相互作用のネットワーク構造に決定的な役割を果たすと考えられる。

    生物多様性科学のすすめ―生態学からのアプローチ
    生物多様性科学のすすめ―生態学からのアプローチ
    大串 隆之

    BOD(生物学的酸素要求量)

    • 2005.05.26 Thursday
    • 12:58

    水中の微生物が有機物を分解する際、呼吸により酸素を消費する。BODは、微生物が、1リットル当たりの水に含まれる有機物を分解するのに必要な酸素量。BODの値が大きいほど水中の有機物が多い。コイ、フナなどの下流域の生きものの生息に適したBODの値は5mg/リットル以下であり、アユなどの中流域に生息する生きものに適した値は、3mg/リットル以下、イワナやヤマメなど上流域の生きものの生息に適した値は2mg/リットル以下である。

    田んぼビオトープ入門―豊かな生きものがつくる快適農村環境

    谷戸田(谷津田)

    • 2005.05.24 Tuesday
    • 12:58

    台地や丘陵地の複雑に入り組んだ谷筋の田んぼ。谷戸には、台地や丘陵から湧水がしみ出す。この水がいくつも集まり、下方には水はけの悪い湿地をつくる。かって、このような湿地を水田にしたことから、これを谷戸田(谷津田)と呼ぶ。この湧水は、落葉落枝の分解によりできたミネラルを多量に含むため、田んぼに対する施肥効果もある。このような地形では、水害の危険が少なく、田んぼの近くに林や草地(土手)があり、田畑に入れる刈り敷や緑肥に加え、田畑を耕す牛馬の餌(生草)を収穫することもできる(犬井正著「里山と人の履歴」より)。谷が細長く入りこんでいるため、田んぼの大区画化、排水や水路の整備(ほ場整備)が進みにくかった。現在でも湿田の状態で残っていることがある。

    田んぼビオトープ入門―豊かな生きものがつくる快適農村環境

    湿田・乾田

    • 2005.05.24 Tuesday
    • 12:55

    田んぼには一年中水が溜まった湿田と、水を排水できる乾田がある。谷戸田には、丘陵地や台地から一年中湧水がしみ通っているため、水を完全に抜くことができない湿田が多い。

    田んぼビオトープ入門―豊かな生きものがつくる快適農村環境

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