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    十字軍物語〈1〉

    • 2010.10.20 Wednesday
    • 22:27

    西暦1099年6月7日、十字軍はついに、イェルサレムを遠望する地に到達した。

    諸侯たちが馬から下り、甲冑のたてる金属音の中で、まるで教会の中でも入ったかのように、うやうやしく片ひざをつき、兜を脱いだ。

    騎士たちも馬を降り、それにつづく。

    兵士たちに至っては思わず両ひざをついてしまい、両手をあげて泣き出す者までいた。

    誰もが感動に震え、感涙にむせんでいた。生まれたときからくり返し聴かされてきた聖都イェルサレムが、今や彼らの目の前にある。おりからの夕陽を浴びて、静かにそこにあるのだった。ついに来たのだ、という想いが全員の胸を満たし、それがあふれてくるのを甘美な想いで受けとめていたにちがいない。

    第一次十字軍の戦士たちは、この瞬間、謙虚な巡礼者になりきっていたのである。

    この想いの前では、諸侯と兵士の差はなくなっていた。免罪に釣られて十字軍に参加していた人殺しや盗賊と、初めから神に一生を捧げると誓約した聖職者のちがいもなくなっていた。

    イェルサレムは、この種の想いを人々に感じさせる都市なのである。だが、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の別なく、同じたぐいの思いを抱かせてしまうところが、一神教間で摩擦を生む原因であるのだった。

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